アワード - 2020年12月22日

第二の故郷に恩返しを

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私が初めてparkrunに出会ったのは2014年、イギリスの大学院でスポーツ振興学(Sport Development Management)を学んでいた時に、担当教授から「日本ではparkrunはあるのか?」と聞かれ、「parkrun?公園ではみんな走ってますが。」とかいう会話がきっかけでした。

 

当時はイギリスの様々なコミュニティスポーツや障碍者スポーツの環境を調べており、ちょうど住んでいたBedfordという町にもparkrunがあり、参加してみることにしました。

 

初めてのparkrunは2014年12月6日、気温は氷点下、Bedford Parkにある大きな池は凍っていましたが、そこには町のおじいちゃんおばあちゃんから、ランニング姿の高校生や子どもなど150人近くの人が集まっており、早朝から公園には活気が溢れていました。

 

Bedford parkrun1

 

Bedford parkrunの雰囲気はとても暖かく、日本人含め東洋人もあまり住んでいない町でしたので私の姿は珍しかったのか、何人かから「どっから来たの?留学生?」と声をかけられたのを覚えています。

 

それからは、そんな暖かい雰囲気と、全てボランティアで運営するという社会貢献的なシステムの魅力に惹かれ、parkrunにほぼ毎週参加するようになりました。何回か参加するうちにボランティアもやってみようという気になり、ボランティアのベストを着るとなんだか町の一員になれたような気がして、とてもホッとしました。

 

Bedford parkrun2

 

元々、スポーツ振興を学びたかった私はparkrunに出会ってから「これだ!!」と思い、まだ日本では開催していなかったので創設者のPaulに直接メールをして相談をしましたが、当時スポンサーの目途もないただの学生の私には到底無理な話で日本での開催は夢物語に終わりました。

 

そして、イギリスからの帰国後に住んだのは東京都の西荻窪という町です。帰国後、住所も仕事もない私は従兄の住むマンションでしばらく居候しながら就職活動をし、仕事を見つけた後もそのまま西荻窪に住むことにしました。当時、ワインバーを営んでいた従弟のお店には地元の常連さんも多く集まっており、イギリスに留学する以前から大変仲良くさせてもらっていたこともあって、仕事の相談からプライベートまで、色々な方々にお世話になりました。そのように暖かく私を迎えてくれた西荻窪を離れるとう選択肢はなく、ここを第二の故郷とすると決めたのでした。

 

西荻

 

それからしばらくはparkunのことは忘れ仕事に没頭する日々が続いていましたが、昨年日本でもparkrunがついに始まったというニュースを知り、「出遅れた!」という思いで即、桃井原っぱ公園での開催を申請し、準備に取り掛かりました。

 

準備が整い始めた矢先に緊急事態宣言となり、約半年間は何もできない状況が続きましたが、その間光が丘公園parkruのイベントディレクター小林さんを初め、関東圏のイベントディレクターの方々と交流する機会を持つことができ、コロナ禍でもparkrunへの希望を捨てずにいられました。

 

そしてようやく、コアメンバーとしてサポートしてくれている従兄を初め、彼のワインバーを通じて知り合った方々など多くの方の協力の元、11月21日、桃井原っぱ公園でのparkrun初開催を迎えることができました。また、初開催にあたり、Paulからも「Wow, how brilliant! That’s such lovely news! (なんて素晴らしい!とても微笑ましいニュースだ!)」と、祝福の言葉もいただきました。

 

初開催日

 

約5年越しの私の思いが叶って実現できたparkrunではありますが、parkrunは私のものではありません。この地域に暮らす人たちのものであってほしい為、イベントディレクターも他でやってみたいという方がいれば大歓迎で譲りたいと思っています。

 

ただ、このparkrunが長く地域に愛され、誰でも、お年寄りから子ども、健常者から障害のある方まで自由に参加できるイベントであってほしいというのが私の唯一の願いです。今後、私の第二の故郷であるこの地で、少しでも地域の方に恩返しができるよう健康的で笑顔溢れるparkrunを開催していきたいと思います。

 

 

桃井原っぱ公園parkrunイベントディレクター
六車 拓人

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