parkrunが始まって18年目を迎えた2022年の締めくくりとして、parkrun創設者のポール・シントン=ヒューイットCBEが、parkrunにとって新記録の更新が続いたこの一年を振り返りました。
毎年言うことですが、今年もまたparkrunにとって唯一無二の一年となりました。
2022年が始まった当初、まだ世の中は不安定な状況に包まれ、新型コロナウイルスの新たな変異株が広がり続けていました。
しかし、私たちは楽観的でした。
新年、新たな最高経営責任者を迎え、進むべき方向の再活性化と、ゆらぐことのないミッション
健康で幸せな世界を創る。parkrunはどなたでも、ずっと無料です。
世界が途方もなく困難だった数年から回復し始めている中、parkrunのようなコミュニティイベントは、極めて重要な役割を担っていると私たちは今も確信しています。
現在、物価が高騰しており、誰もが無料で定期的に運動できるイベントに参加できる機会がかつてないほど重要視されています。
parkrunに参加するのに特別な道具は必要ないこと、参加するのに費用がかからないこと、登録料は無料、オンラインで登録したら、バーコードを持参し、世界20カ国を超える国々で行われている2,200以上あるどのイベントにも参加できること、これらの点を今まで以上に声を大にして伝えていかなければなりません。
好きな時に、ウォーキング、ジョギング、ランニング、ボランティア、観覧どれでも好きな参加方法で、何度でも好きなだけ参加できます。
運動能力、年齢、出身地、経歴などに関係なく誰でも参加することができます。そして、ウォーキング、ジョギング、ランニング、ボランティアのすべては、対等な参加形態と見なされます。
コミュニティの力
これほどまで大きなスケールでさまざまな立場の人々が一体となることに、心から感動を覚えます。
今年は過去に例を見ない形でそれを目の当たりにしました。
ウクライナの戦争から逃れる難民たちを温かく迎え入れ、心を同じくして困っている人たちに手を差し伸べた世界中のparkrunコミュニティ。
悲しく困難な状況に、敬意と思いやりを持って対処した数々の地域コミュニティ。
このような出来事は、私の信念である「人々は根源的に善であり、人々は親切である」を毎年のように再確認させてくれます。
2022年、世界のイベント総数は10万に達し日本ではこの一年でこれまで過去最高となる約1,300回のイベントを記録しました。
公園に13人のランナーと5人のボランティアが集まって行われた2004年のあの初開催のイベントから、大きく飛躍したことになります。
さらに、今年は800万人目のparkrun登録者を記録しました。
必要としている人たちに手を差し伸べる取り組み
parkrunが必要とされるより多くの場所でイベントを開催できるよう、そして初めての参加を考えている人たちの多くが直面する障壁をなくすためにも、私たちは毎年より工夫を凝らした方法で介入しようと努めています。
医師たちが地元のparkrunイベントと緊密な関係を築き、患者と医師・職員たちの両方の心と体の健康のためにparkrunへの参加を処方できる「parkrunプラクティス」のようなイニシアチブを通じて、これまで築き上げてきた大変有益なパートナーシップを引き続き大切に育んでいます。
今年、parkrunプラクティスはオーストラリアでも発足し、イギリスでは4周年、アイルランドでは3周年をそれぞれ迎えることができました。
イギリス、オーストラリア、アイルランドでは、ジュニアparkrunが引き続き成功を収めており、とある週末に400ヶ所でのイベント開催、並びに約8,000人のボランティアの参加、という新記録をこちらでも樹立しました。
11月には、刑務所内でのparkrun開催が始まって5年を迎えました。これらの土曜の朝のベントは、少年犯罪施設から更生施設や女子刑務所に至るまで、世界各地の管理施設で毎週末行われています。
新たな試み
parkrun創設18周年を迎えた今年の10月には、期間限定でparkrunからparkwalkに名称を変更し、parkrunでウォーキングすることを応援するキャンペーンを1か月間実施しました。このキャンペーンを通じて、parkrunでは歩いて参加する人たちが大いに歓迎され、ウォーキングが奨励されるということを改めて伝えられる機会となりました。
parkrunでは、ウォーキングをいつも、そしてこれからもずっと歓迎します。
キャンペーン期間中に10万回以上のparkwalkが記録され、1万人以上の初参加者を迎えることができました。
全く新しいボランティアの役割「parkwalker」も導入されました。決して誰も最後にフィニッシュすることが無いよう、最後尾を歩いてサポートする最後尾確認係に加え、parkwalkerは、任意の役割として歩いて参加する人たちすべてを励まし、サポートの幅を広げます。
同じく10月には、parkrunの参加者数がパンデミック以前の近くまで回復しました。大変喜ばしいことに、参加者数の上昇傾向は続いており、新年に向かって引き続き安定した状況を保っています。
また、他と異なる人たちや、社会から疎外されていると感じている人たち、また運動することが好みではない人たちのストーリー(体験談)通じて、parkrunは誰もが受け入れられる場所だと共有できることを誇りに思います。parkrunはすべての人たちのためにあるのですから。
年末年始は、過去1年を振り返り、成し遂げてきたことをよろこぶ機会を与えてくれますが、同時に人によっては困難を感じる時期でもあると言えます。
運動とは、屋外で仲間と一緒に楽しんで体を動かすことを優先し、単にカロリー消費のために必要なことだと考えるべきではありません。
このメッセージを最も必要としている人たちに届くよう、私たちは引き続き発信し続けていきます。その一環として、イギリスでは今年雑誌の発行を始めました。これらの雑誌には、毎号折り込み部分がついていて、parkrunに初めて参加してみようとしている人に渡せるようになっています。
このような雑誌を作ることになったのは、人々が画面から離れる時間を増やしたり、パソコンを所有していない人や、デジタルツールに不慣れな人にもparkrunを知ってもらう機会を違った形で提供したいと考えたからです。
これまでのところ需要が供給を大きく上回っていて、現時点で第一号と第二号を合わせて約20万部を配布してきました。2023年の春には、第三号を発行できることを心待ちにしています。
コラボレーション
parkrunの運営は、共通の目的に賛同してくださったスポンサー企業のサポート体制の基に成り立っています。
今年、イギリスではSport Englandを含む既存のスポンサーから更なる協力を得ることができました。そして、新たなスポンサーとしてBlue Frog、Polar、WithU、Lidl、De’Longhiの5つの企業を世界各地で迎え入れました。オーストラリアでは、Medibankがメインのスポンサーに就任し、イギリスとアイルランドで公式フットウェアスポンサーのBrooksは、ヨーロッパのイベント開催国にも足を運ぶ機会を持ち、好評をいただきました。
イギリスのチャリティーパートナーのAlzhimer’s Research UKは、これまで8年間でparkrun参加者のご厚意から集まった募金総額が200万ポンド(約3億円相当)近い額に到達したことを祝いました。また、BBCのChildren in Need(イギリスのチャリティ団体)とは今年初めてコラボレーションし、YouTube チャンネルThe Body CoachでおなじみのJoe Wicks (ジョー・ウィックス)氏を迎えて4つのparkrunイベントで行われた「Walk With Joe」には、4,000人を超す人たちの参加がありました。
この先も、より一層スポンサー企業との関係を強化しながら、さまざまな面で学び、発展させ、成長してけるよう努力していく次第です。
parkrunに最も大きく貢献してくれているサポーターは、間違いなく世界中にいる600人以上のアンバサダーのみなさんです。
ソーシャルメディアの管理からイベント当日のサポートや写真撮影まで、貴重な専門知識や技能を提供してくださるみなさんには、感謝の気持ちでいっぱいです。parkrunのために常に尽力してくださって、本当にありがとうございます。
parkrunを成功に導いているのは、その細部に至るまで、支えてくださる数多くの方々の存在です。
ボランティアのみなさん、ウォーキング、ジョギング、ランニングで参加してくださるみなさん、世界各地のスタッフチーム、そしてすべてのスポンサー並びにサポーターの方々へこの場を借りて、parkrunに関わるすべての方々に改めて感謝申し上げます。
みなさんのご理解とご協力があるからこそ、parkrunは存続できるのです。
未来に向けて
今年は、かつてないほど多くの人たちにより多くの言語でアンケート調査を行い、ウォーキング、ジョギング、ランニング、ボランティアのいずれにせよ、イベント参加の障壁となっているのは何なのかを追求するために時間を費やしてきました。
今後も、コミュニティ、スポンサー、parkrun参加者の各方面と協力して、parkwalkのようなキャンペーンをさらに充実させ、もっと大勢の人に届けられるイベントを目指し、結果としてより多くの人々の健康と幸福につながるよう、精一杯努力してまいります。
18年前の初開催イベント以来、世界で500万人がparkrunに参加してきました。
そして、今年だけでもボランティアとして25万人以上の参加を記録しました。
なんと素晴らしいことでしょう。
2023年が皆さまにとって素晴らしい一年となりますように。
ポール・シントン=ヒューイットCBE
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